マネージャー/ブライダルディレクター
中谷 早希

広告写真を新しくしたのに、来館予約が伸びない。その原因は、会場に来ているお客さまの傾向と写真の世界観のズレかもしれません。ロンドマークがデータをもとにどう撮影を設計しているのか、その流れをご紹介します。
広告写真を新しくしたのに、来館予約が伸びない。その原因は、会場に来ているお客さまの傾向と写真の世界観のズレかもしれません。ロンドマークがデータをもとにどう撮影を設計しているのか、その流れをご紹介します。
ロンドマークは札幌を拠点に、結婚式場(ブライダル)の広告撮影・WEBサイト制作・プロモーションをワンストップで手がけるクリエイティブチームです。ホテル椿山荘東京をはじめ、全国の結婚式場・ウエディング施設とお取引をさせていただいており、WEBサイト制作は100を超えるブライダルサイトの実績があります。
なぜここまでブライダル業界のお仕事が多いのか。理由は大きく3つあります。
長年ブライダル業界を熟知したプロデューサーや元ウエディングプランナー、デザイナー、エンジニアが在籍しており、業界特有の商習慣やお客さま心理を理解した上で撮影・制作に臨めること。
企画コンセプト立案、競合調査、モデル手配、ロケーション選定、レタッチ加工までを自社内で完結できるため、会場側の窓口が一本化され、コンセプトのブレが起きにくいこと。
全国のブライダルマーケティングの動向を継続的に収集・分析し、単なる「きれいな写真」ではなく「集客・成約率アップにつながる表現」を提案し続けていること。
今回のジャーナルでは、その中でも特にお問い合わせの多い「広告撮影」にフォーカスし、私たちが実際にどのような流れで撮影を組み立てているのかを、時系列に沿ってご紹介します。
ブライダル業界には、結婚式を挙げるお客さま(花嫁・花婿)を、価値観や結婚式に求めるものの傾向によって分類する「クラスタ」という考え方があります。これはリクルート/ゼクシィが実施している大規模な結婚式実施者・予定者調査をもとに設計されたもので、「結婚式へのイメージ」に関する複数のキーワード設問への回答傾向から、似た嗜好を持つ層をグルーピングしたものです。
たとえば、
王道を押さえつつ自分好みのエッセンスを加えたい、フォロワー気質でトレンドに敏感なタイプ
伝統・格式や儀礼を重視し、正式なふるまいを大切にするタイプ
憧れの世界観をすべて表現したい、プリンセス感・非日常感を求めるタイプ
ゲストと一緒に笑顔で楽しみたい、一体感を大切にするタイプ
自分たちのセンスを活かしつつ、ゲストが自然体でくつろげることを両立したいタイプ
というように、複数のクラスタに分類されます。それぞれのクラスタで、重視する会場のイメージ(例:格式のある/気取らない/お姫様のような、など)や、予算感、想定人数、想定会場タイプ、情報収集に使うメディアまで、傾向が大きく異なります。
そして重要なのは、同じ「結婚式場」であっても、どのクラスタのお客さまが多く来館しているかは会場ごとにまったく違うという点です。歴史ある神社挙式ができる会場には「きちんと礼実」タイプが集まりやすく、開放感のあるガーデンウエディング会場には「こだわり寛実」タイプが集まりやすい、といった具合です。つまり、広告撮影を成功させるためには、まず「今、自分たちの会場にはどのクラスタのお客さまが来ているのか」を正しく知ることがスタートラインになります。
会場ごとに異なるお客さまのクラスタを捉え、その層に本当に響く広告撮影で集客を後押しします。
広告撮影のご相談をいただいたら、まず私たちが行うのは「撮り方を決める」ことではなく「現状把握」です。会場ごとのサイトのパフォーマンスデータをもとに、実際にその会場のサイトへどのクラスタのユーザーが多くアクセスし、来館予約につながっているかを解析します。ここで「集客が多いクラスタ」「反応は良いが取りこぼしているクラスタ」が具体的に見えてきます。
集客が多いクラスタが分かったら、次に行うのが「適合チェック」です。現在会場が保有している広告写真が、そのクラスタが求めるイメージ(たとえば「笑顔があふれる」「おもてなし感のある」「お姫様のような」など)とどれだけ一致しているかを一枚一枚突き合わせていきます。集客の多いクラスタ像と、実際に会場が発信している素材の世界観にズレがあると、せっかく興味を持ってサイトに来てくれたお客さまが、資料請求や来館という次のアクションに進みにくくなってしまいます。
適合チェックの結果をもとに、「どの写真が響いているか」「どのカットが足りていないか」を調査します。その上で、既存素材を一部ブラッシュアップする方が効果が出るのか、あるいは撮影自体を刷新すべきなのかを判断し、具体的な提案書としてまとめます。この提案書には、モデルのキャスティング方針、装花やコーディネートの方向性、撮影ロケーションの候補などが含まれており「集客に響くお客さまの獲得に最も近いカット」から逆算して撮影内容を設計しているのが大きな特徴です。単に美しい写真を撮るのではなく、狙ったクラスタの心に刺さる一枚を撮るための設計図と言えます。
提案内容がまとまったら、いよいよ撮影本番です。企画コンセプト、モデル手配、ロケーション選定、当日のスケジュール管理まで、自社チームが一貫して進行を担います。ウエディング施設の広告撮影はもちろん、SNS用素材、ロケーション撮影、ムービー、スナップ、ドローン、ドレス・モデル撮影まで幅広く対応しており、狙ったクラスタが「自分ごと」として感じられるカットを、当日の光や空気感まで含めてつくり込んでいきます。
撮影後は、社内のレタッチチームがハイレベルな補正・加工を施し、WEBサイトをはじめとする各種広告媒体での見え方を最大化します。色味や質感の調整はもちろん、狙ったクラスタが好む雰囲気(たとえば「上質さ・本物感」を求める層向けなのか、「ナチュラルさ」を求める層向けなのかなど)に合わせた仕上げを行うのもポイントです。
近年特にお問い合わせが増えているのが「AIレタッチ」のご相談です。すでに撮影済みの会場装花やコーディネートを、季節やトレンドの変化に合わせてAIで調整・刷新することができます。再撮影をせずとも素材の鮮度を保てるため、コストと納期の両面でメリットが大きく、かつ高いクオリティを実現できることから、非常に多くのお問い合わせをいただいている領域です。
「きれいな写真を撮る」ことと「集客につながる写真を撮る」ことは、似ているようで全く別のゴールです。私たちが大切にしているのは、感覚や経験則だけに頼るのではなく、実際のデータに基づいて「今、会場に来ているお客さまは誰なのか」「その方々に本当に響く表現は何か」を突き詰めた上で撮影に臨むこと。クラスタという切り口を用いることで、感覚論になりがちな広告撮影の意思決定に、再現性のある判断軸を持ち込むことができます。
今後もロンドマークでは、撮影・WEB制作・プロモーションを横断した知見を活かしながら、会場さまの集客力向上に貢献できるご提案を続けてまいります。
マネージャー/ブライダルディレクター
中谷 早希